信用収縮(クレジットクランチ)という単語が最近テレビにも登場してきました。金融にはあんまり詳しくないのですが、マクロ経済的な観点と多少の政治経済的な観点で今世界に起こっていることと、これから起こる最悪の事態を荒っぽいですが考えてみたいと思います。銀行がたくさん倒産して、不況になるだけなら、ここまで深刻になる必要はないのです。

まず結論から…。今の事態が最後まで進むと、第3次世界大戦が勃発する可能性が極めて高いです。なぜか?

第2次世界大戦が勃発した原因を考えてみてください。

歴史で習ったようにそれはブロック経済政策によって、自由貿易が麻痺したからです。
自由貿易が停止したのは、金融恐慌によってもたらされた金融危機が実体経済に波及し、実体経済が悪化し、各国が自国産業を守るための措置(自国産業保護のための関税の大幅な引き上げ)をそれぞれ独自にとったからです。

以上のように、自由貿易が停止し、ブロック経済が復活するという言葉には、非常に深刻な意味があります。ですから自由貿易を守ることが重要だという声が、ここに来てアメリカの有識者の間からあがってきているのです。

【戦間期と現代】
現在の金融恐慌が来るまでの時期は、第1次世界大戦と第2次世界大戦の間ときわめてよく似ており、類似点として、いろいろな点を上げることが出来ます。例えば、超大国同士の活発な自由貿易。自由貿易が盛んになればなるほど、逆に戦争の確率は上がることはよく知られている事実です。イギリスポンドの基軸通貨からの脱落と混乱(これは多額の戦費によって第1次世界大戦の時おきました。)経済不況から国民の目をそらせるためのファシズムと民主主義との戦い。未熟な金融制度と行き過ぎた投資によって引き起こされたバブル的状態からの破滅的な後退。

【ドルの価値】
でも、単なる世界的な景気後退のみが問題ではありません。今最終的に問われているのは、基軸通貨としてのドルの価値です。このドルの価値が暴落すれば、貿易の決済の手段がなくなります。もっとも信頼できると言われていた資産の価値が下落すれば、その損失を埋める必要が生じますが、他で埋められない可能性があります。ドルが足らないからと言って、担保を取らずにお札をせっせと刷って金融機関に渡すのは無理です。そんなことをするとインフレが必ず起きます。だから、お金を刷る担保として、アメリカ国債という将来の期待を担保にした借金である赤字国債を発行します。

【過去に例がない新規国債の発行額】
2008年アメリカはイラク戦争で多額の戦費を必要としています。また減税、財政赤字、70兆円の救済金、貿易赤字で、228兆円もの赤字国債を発行する必要があります。これは過去に例がない規模です。

【アメリカ国債の格付け】
なお、アメリカ国債は格付け最高ランクで世界中のありとあらゆる金融機関が持っています。絶対的な"信用"があります。それはアメリカの未来の経済成長への期待です。その期待があるから、借金証書であるアメリカ国債を購入して投資をすることが出来るわけです。たとえば仮に、明日つぶれて無価値になるとわかっている国の通貨の赤字国債を買う人はいないでしょう。そんなことになれば、出来るだけ損が出ないようにみんなで投げ売りをします。アメリカ国債の、最大の引き受け手は日本と中国です。中国はせっせと札を刷り、日本は日本のきちんと赤字国債を発行して買っているという違いはありますが。

ともかくこれまでは絶対に価値が落ちないものとして扱ってきました。何しろアメリカ経済は今も未来も絶好調でドルは基軸通貨なんで、心配する必要がなかったわけです。

【アメリカ国債の調達方法】
しかし、ここに来て金融機関を救うためのお金をどうやって調達するのかということに関心が向きつつあります。アメリカは世界中に借金(対外債務:2000兆円)をしていますが、同時に世界中から投資(対外資産:1650兆円)を集めています。差し引き350兆円。

この差し引きに1年間で一気に228兆円も負債が増えるわけです。これまで世界中がこつこつと積み重ねてきた金額と比べると大変な金額です。しかも、金融機関に投入された資金はどこに行くのでしょう?日本のバブル崩壊の時もそうでしたが、きちんと実体経済に必要な資金として、投資が行われ、企業に適正な貸し付けが行われることは考えにくいのです。

【使わざるを得ないバズーカ砲】
さらに言うと70兆円なんて全然足りない。しかももう35兆円も使ってしまいました。ポールソン長官がバズーカ砲はあると言うことを見せれば使う必要がないと言っていたにもかかわらずです。現状で金融機関を救うためにはさらにもっと必要です。

【負のスパイラル】
でも、これは負の連鎖です。金融機関を救うためには、アメリカ国債を発行して、FRBがそれを購入して、その金額を金融機関に送金する必要がある。しかし、発行すればするほどアメリカ国債の価値が下がり、追加でさらに資金が必要になる。だから、もっと資金供給してもらうために…、、。これがどんどんと繰り返されれば、さらにドルの価値が大きく下がるわけです。下がればさらに下がった担保価値を埋めるためにさらにドル資金が必要です。まるで奈落の底に落下するがごとく負の連鎖がとまりません。

【資本主義経済の終焉:社会主義経済への転換】
さらに各国中央銀行による資金供給をマスコミは無制限の資金供給ということを報道しています。でも歴史的に重要な意味はもっと他にあります。それは中央銀行が自分で決めた固定レートで資金を供給するということです。こんなことをやっているのは中国しかありません。要するに通常は市場原理によって供給レートが決まるのですが、今は資本主義を捨てて、社会主義経済の政策をとったわけです。さらに、どんどんと金融機関を国有化していっています。まさしく、資本主義経済をかなぐり捨てて、とにかく危機的事態の収束をはかっているわけです。

【アメリカの信用】
繰り返しますが、金融機関を救うための資金供給には担保が必ず必要です。それはアメリカという国の信用性なわけです。国債を買っても将来きちんと利息が付いて返済されるという信用性。日本の不良債権処理の時は、日本という国が持つ全資産(国民の貯金)と不良債権を抱えている金融機関の資産を比べて、遙かに大きな資産を日本が持っていました。国有化すれば、大きな担保価値を持つ資産が会ったのです。しかし今は、アメリカ国債はそのほとんどがアメリカ以外で購入されている。しかもアメリカ国民の貯蓄は元々少ない上に、さらに毎年マイナス方向に進んでいっている。アメリカという国が将来も経済成長を続けるという期待のみが担保なのです。でも、現時点でそれもかなり怪しくなってきている。G8共同で声明を出して、資金供給を始めた時、株価は世界中で大幅に上昇しましたが、アメリカ国債の価格はほとんど反応がありませんでした。

【最悪の事態を少しでも回避するために】
既に中川財務大臣は先のG7で表明していますが、日本は金融機関救済のために必要なドル供給を助けるために、かなりの額をアメリカに援助するでしょう。とにかく世界中が直球勝負、プライドも資本主義経済もかなぐり捨ててドル暴落、世界同時大不況、ブロック経済圏の形成、そして第3次世界大戦という最悪の事態を回避するために、懸命の努力を続けています。先進国同士が戦争に突入する確率は、同じ民主主義国家同士であることから言っても、ほぼ100%ありませんが、新興国、特に民主主義ではない政治体制の新興国が深刻な経済的ダメージを負ったときに、先進国の動きにどれだけ同調し、協調行動を取れるのか。自国だけの都合によって、協調行動から離脱し、貿易を勝手に制限する事態になれば、第2次世界大戦と同じ道を歩むことになります。
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